outputからexpressへ
前々から「アウトプット」という言い方に引っ掛かりを感じていました。知的生産界隈で使われる、情報発信的な行為を指す言葉です。
この言葉は通信の世界ではまっとうな働きをしてくれるのですが、残念ながら人間のコミュニケーションは通信ではありません。だから「アウトプット」と表現してしまうと落としてしまうものがあるのではないか、という違和感があったのです。
知的生産の定義においても「頭を使う」というフレーズが用いられていますが、そのニュアンスも「アウトプット」からは感じられません。なんでもあれば「出せ」ばそれはアウトプットに相当してしまうのです。通信、つまり”意味”をはぎ取ったやりとりとはそういうことです。
であれば、何か別の言い方が欲しいところですが、シンプルに言えばそれは「言い表す」ということでしょう。固く言えば「表現」ということになります。つまり、express、あるいはexpressionです。
out-もex-も「外」のニュアンスを持つでしょうが、exの方が「〜を超えて」という感覚がより強い気がします。表現するというのはまさにこの「〜を超えて」という要素が切実に関わってくるのではないかと思う今日この頃です。
というわけで、通信的な意味合いで問題ないときはアウトプット、そうでないときはイクスプレス(エクスプレス)とか、エクスプレッションとかそんな風に呼ぼうかなと思います。となると、逆側はインプレスとかインプレッションですかね。その辺ももうちょっと考えたいところです。