私の姓は富山(とみやま)と言います。少し珍しいようです。先祖は江戸時代の後期に、荒れ野だった久保田藩の新村に開拓民として入植してきたのだと思われます。当時の先祖の記録はわからないのですが、村の開祖で、地元の偉人である渡部斧松氏という老農が、水道工事で山をくり抜き、6人以上の作業員が犠牲になりましたが、斧松はあきらめずに開墾に成功したと語り継がれています。
農林水産省:新田開発と渡部斧松
今日主題にしたかったのは、その入植してきた富山の一族と、私が直接の血縁ではないという少しだけ不思議な話です。それは私が養子であるとか、そういう事情ではなくて。
私の父方の祖母は、後妻として富山の家に嫁いで来たと聞いてます。その夫で、私からみたら祖父なのですが、じつはこの人物も「後夫」。
つまり、私の祖父・祖母の夫婦と同じ代で、先に死去された夫婦が一組いたらしく、私は写真も見てないし名前も知らないのですが……
大正時代、富山家の当主ヨシオ(仮名)とミコ(仮名)が結婚して夫婦になったが、ヨシオが急死してしまった。商売もしていたし当家がなくなったら困ると親族に説得されたミコは後夫を迎えた。
この夫が私の祖父。しかしどうしたのかミコも他界してしまい、こんどは祖父が説得されて後妻として私の祖母と結婚した。この時点で富山家夫婦は完全に選手交代である。
祖父は父が5歳の時に亡くなり、祖母が女手一つで父ときょうだいを育てたと聞いている。
自分の家のことながら、これには『犬神家の一族』的な背景があるのではないかと怪しみ、中学生くらいのとき、お寺に聞きに行ったりしたが、和尚さんに笑われただけだった。
そのためか、私には父方の姓とも母方の姓とも違う姓の親戚がいっぱい居て、正直どういう関係であるのか知らない人もいる。
親が健在なうちに、家系図でも作っておこうかなと思っている。