ぼくのGTDのはじまり その3
「やるべきこと」を3つにしたぼくが、その次にGTDをシンプルにするために勇気をだして「減らした」のは、週次レビューでした。週次レビューという時間をとるのをやめました。週次レビューをしないGTDをGTDと呼んでいいか、皆さんにも異論あるところと思います。
GTDをはじめて1か月目くらいで、自分が無理をして週次レビューにとりくんでいることに気づいたと記憶しています。
このままだと、ナマケモノのぼくが、週次レビューだけでなくGTDそのものをつづけられなくなるような感覚がありました。たとえば、週次レビューの終わった翌日には、もう次の週次レビューが大きな大きな心の負担になっていました。週次レビューのために生きているような感覚です。
そこで、試しに、少し勇気をもって週次レビューを全部やめることにしました。やめてみて気づいたのですが、「やるべきこと」(プロジェクト) を3つにしぼっているぼくにとって、タスク管理リストを見直すことは週次レビューという名前をつけたまとまった時間にしなくても、何とかこなせていることでした。
ぼくの理解では、週次レビューは、ある程度まとまった量のタスクを実行したあとに、そのタスクのアウトラインを見直してリライトし、自分にとって生きたタスクのアウトラインに近づける操作です。
タスクのアウトラインが複雑なほど、レビューをとおしてタスクのアウトラインを生きたものにする作業は大変になります。そのため、たとえば毎週月曜日にやるといった形で頻繁にやる必要が生まれます。
しかしそもそも、「やるべきこと」つまり、プロジェクトが少ないと、その作業がシンプルになることが多い。わざわざレビューし直さなくても、タスクのアウトラインが自分の気もちや生活に近いものになる可能性が高い。
週次レビューという形の作業をとらなくても、自分の「やるべきこと」(プロジェクト)とタスクのアウトラインを見直す別の形の作業を、愉しくやっていればそれでいい。
これが、この時点での発見でした。自分のアウトラインを見直す別の作業については、またあとでお話しします。
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「やるべきこと」を3つに「減らし」てもうひとつ、それまで以上に実感したのは、3つの「やるべきこと」はかんたんに9つになり、それがあっという間に81個に増えてしまうことです。放っておくと幾何級数的に増える。
それぞれの「やるべきこと」が生きているから、その「やるべきこと」から別の新しい「やるべきこと」が生まれてしまうから、生きものの法則に似たパターンで増えるのは、あたり前といえばあたり前。
さらにもうひとつ、Leo Babautaさんはタスクを小さくすることをススメています。その結果、「やるべきこと」を終わらせるためのタスクも、かんたんに何倍にも増えることができます。
どうすれば、この自然の法則のように感じる〈チカラ〉とつきあえばいいのか。解決できない問題のように感じました。
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で、「やるべきこと」やそのタスクを減らすのが大変な理由は、先に挙げたGTDの要点の6つのリストの中の1–3の作業を、何も武器をもたずに力づくで減らそうとするからではないか、と考えるようになりました。
念のためもういちど、ぼくがテキトーにつくったGTDの要点の最初の3つを挙げておきます。
終わっていないと思う作業すべてを書き出して、脳の負荷を小さくしてあげる
書き出した作業リストから「やるべきこと」が何かを考え、整理する
「やるべきこと」を終わらせるためのタスクのリストをつくる
終わってないと感じる作業をかきだしたり、それをベースに「やるべきこと」(人生のプロジェクト?) を整理したり、たとえば過去1週間でどれだけのタスクを終えて、そこから何ができたのか、頭を整理するための方法やそのためのツールが欲しい。
そこで、アウトライナーが登場します。
最初につかったアウトライナーは、Opalという macOS (くどいですが、当時はMac OS Xと呼ばれていました) 用のアウトライナーです。Macintosh用に1980年代後半に活躍したアウトライナーActaの機能を再現したアウトライナーです。
..とかくと、理路整然と段階を踏んでいるようにかいてしまっていますが、当時はまぁ本当にジタバタしていました。
アウトライナーは、タスク管理のために使いはじめたのではなく、論文などの原稿をかくツールとして、藁にもすがる思いで、つかいはじめていました。しかしそれを、自分のタスク管理に生かすということには、すぐには気づくことができませんでした。
「やるべきこと」を3つに維持しつづけることも、まぁ本当に大変でした。これまた、自分の「やるべきこと」を3つにするために生活しているようなところがあって、ホンマツテントウだなと、よく思っていました。
そう思いながら、たぶん1年から2年くらいは、OmniFocusのプロジェクトが3つのリストをみることに生き甲斐を感じていた気がします。
アウトライナーを、「やるべきこと」やタスクを減らすツールとして使えることに、気づいていませんでした。
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アウトライナーは、つかいはじめてすぐに、フリーライティングの場として活躍するようになりました。
最初はフリーライティングと呼ばず、「モーニング・ページ morning pages」と呼んでいました。ノートブックに手がきすることも多く、毎朝かいていました。これは、以下の本に倣ったやり方です。
『ずっとやりたかったことを、やりなさい』(原題: The Artist's Way. 1992) Julia Cameron. 菅靖彦訳, サンマーク出版 (邦訳出版は2001年)
芸術を目指す人たちが、自分のつくる作品の価値に自信をもつことは、かんたんではないはずです。その方法のひとつとして、毎朝、自分の頭や心に浮かぶことを3ページ分くらいの分量、そのままかきつづけるという、シンプルなやり方です。有名な方法で、たぶんここにいる皆さんの中には、ぼくよりもよくご存知の方も多いし、使いこなしている方もいるのではないかと思います。
6か月つづけたのですが、残念ながらぼくにとって、このモーニング・ページのやり方そのものは、うまく機能しませんでした。毎日かく。3ページ分かく。それを繰り返しても、ぼくの中に変化が起こる兆しがみられませんでした。もちろんこれは、この方法が悪いということではなく、その時点のぼくに合った方法ではなかったことと、何よりもたぶん、ぼくのやり方がうまくなかったのだと予想しています。
はじめてから半年たった日に、このモーニング・ページをやめることにしました。その代わりに、フリーライティングをつづけることにしました。といっても、モーニング・ページと見かけは大してちがいません。でも、毎日かくという約束も、自分を大切にするという約束をするような「誓約書」もありません。
ぼくのやっているフリーライティングは、ぼくのブログの連載記事にまとめていますので、興味のある方は、よんでみてください。
はじまりのフリーライティング. gofujita notes
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さて、このフリーライティングが、どうGTDに繋がるのか。どんな風にGTDの要点としてぼくがあげた1–3のプロセスに役立てることができるのか。
ここでTak.さんの「To-Be」リストが登場します。
(つづく)