はじまるまでの葛藤を全部書く
「うちあわせCast」に僕が参加する、というありえないことが起こった。
まずしゃべることが得意ではないから、文章で何かを伝えていきたい、と考えている僕があえてしゃべることを選択するというのがありえない。あの倉下さんとTak.さんのトークに自分が絡んでいく、というのもどうにも想像ができない。
まぁとりあえず、聞いてみたいと言われたことをトンネルChanelにでも書いてみるか。いや、待て待て。これはけっこう重要な分岐点なんじゃないか?
苦手とかなんとかを置いておくとすれば、僕は倉下さん、Tak.さんと話がしたい。ここで呼びかけに応じず「誘っても来ない人」認定されたら、そんな機会は永遠に訪れなくなるかもしれない!(大げさ)
あと「うちあわせCast」ヘビーリスナーの僕としては、どうするのがおもしろいかと考えずにはいられない。 対象者が自分でなかったとしたら、これだけ議論を呼んでいるあの文章を書いた人は、何を思っているだろうか?と気になるはずだ。そして、その人を交えてどんなトークが繰り広げられるのかも。
何を思ったかをどこかに書けば、またそれを素材として一流シェフの倉下さん、Tak.さんが楽しく美味しく調理してくれるだろう。が、そこで生じる新たな疑問があるはずだし、解釈の違いも起こるだろう。
その場で対話した方が消化不良を感じることは、少なくなるはずだし、思わぬところに話が展開するかもしれない。そのライブ感がうちあわせCastの魅力のひとつなのだ。
これは自分が話せるのかどうかは置いといて、参加するしかない、と僕は腹を括った。
さて、どうする?僕が書いた文章を取り上げてもらったうちあわせCast133回を聞いて考えたことは十分なボリュームがあって、話すことのネタには困らないはずだ。
それを要約してプレゼン資料化し、読み上げることはできる。しかし、喋りが巧みとは言えない僕のプレゼンが一方的に続く時間は退屈すぎる。仕事でやってるようなつまらないうちあわせのやり方を持ち込みたくない。
どうしようかと思ってるうちに収録日が来てしまった。楽しみという気持ちが緊張で吹き飛びそうだ。
おちつけ、ただのうちあわせだ、とLogseqに書いてみたけど、もちろんそんなことで落ち着けはしない。
もう開き直ってzoomを起動し、入室する。倉下さん、Tak.さんと軽く挨拶を交わす。いつもの声が聞こえてきて、自分に話しかけてくることに強烈な違和感を感じる。
なんだこれ、僕はついに異世界の扉を開けてしまった!もう後戻りはできない。
こんな感じでいきましょうか、みたいな軽い進め方の提案が倉下さんからあった。こんなに軽く進め方を決めるだけで1時間を超える収録が行われてるのか!と驚愕する。
「いけそうですか?」と倉下さんに聞かれる。いや、いけませんよ、いけるはずがない。いけるかどうかじゃなく、やるんだと決めただけなので、その問いには「いけません」としか答えられない。ここでそんなことを言うわけにはいかないわけだが。
緊張しすぎて働かない頭で考える。やはりまず僕が最も強く感じたことを伝えたほうが、話の流れとしては自然だ。そう考えて、まずは僕が思ったことを話しますと伝えた。
自己紹介では、鞘戸コウってのは、なかなか動き出せない自分を動かすために「さあ、やっとこう」という意味を込めてつけたんですよねー。まぁ全然やれてませんけど。
・・・今の精神状態でそんなユーモアまじりの自己紹介ができるはずはなかった。
ライフハックニュースがはじまり、その場に自分がいることの強烈な違和感が襲ってきた。 いつもの「うちあわせCast」が今ここで展開されている。この軽快なトークのどこに僕の入り込む余地があるだろう?
「コウさんはアウトライナー的なものって、今何か使われてます?」
うあ!急に流れ弾飛んできたよ。ほぼ何も考えていなかったので適当なことを言って急場をしのいだ(つもり)。はー。今の僕はリスナーじゃなくゲストなのだ。気をつけよう。
倉下さんの簡単な振り返りと前置きがあって、ついに僕が語るときが来てしまった。
「えーと、まず思ったことなんですけど」緊張で声は震えてないだろうか?そんなことを思いながら、辿々しく僕は語り始めた。