さて、昨今のタスク管理はどうなっているだろうか。
人気のツールはここ10年で様変わりした。もう Remember The Milkなんてツールを知っている人はほとんどいないだろう。そうした旧いツールはもっとモダンなTodoistや、ClickUpに入れ替わった。
また、Evernoteもタスク機能を強化しているし、あのストイックなWorkFlowyですら行にチェックボックスを付けられるようにしている。機能満載のNotionならタスクのデータベースを作ることすら可能だ。つまり、総合的なノートツールでもタスク管理はできる。
もちろん、日本発のタスクシュートは根強い人気である。私は使ったことがないので状況はわからないのだが、それでもTwitterでたまに見かける情報に触れると、熱心に使っているユーザーは多いように思う。
一方で、GTDはほとんど聞かなくなった。もちろん、思想としてのGTDを受け継いでいるものはたくさんあるが、GTDそのもの、というものの存在感は低下している。今でも現役感があるのは、OmniFocus くらいだろうか。デジタルツールにその思想を落とし込むがきっとたいへんなのだろう。
そういう大変さの一つの現れなのか、高機能化に進むのではなく、むしろミニマリズム的(あるいは禅的)シンプルさに回帰する動きもある。バレットジャーナルはその最たるものだが、紙の手帳やノートを使ったり、情報カードやリーガルパッドを使ったりする人は今でも少なくない。で、複雑怪奇なデジタルツールに触れた後だと、そうした simplicity な道具でもまったく問題なく「タスク管理」ができることに気がつくし、その方がむしろやりやすいことに気がつくことも多いだろう。ごく普通のアウトライナーやテキストエディタであっても、そこになんら特別な機能を付与しなくても、タスクの管理はこなせてしまう。
というか、複雑な機構を使わないとタスクが管理できないとしたら、たぶん「やること」の抱え方がだいぶヤバい方向に進んでいるサインだと思った方がいいかもしれない。趣味として、わざわざ複雑なことをやるのは個人の楽しみではあるが、そうではなくそうした状況に「追いつめられている」としたら変えるべきことはタスク管理ツールではないのかもしれない。
しかしながら、渦中にいるときに自身の状況というのは見えてこないものだ。「他の人のやり方」に触れる面白さはそこにある。視点を変えることで、新しい情報が得られるだけでなく、自分の状況を違った視点から眺めることができる。それが何かをきっかけになることも多い。そこで紹介されていた方法をとらず、むしろまったく逆の方法を選択する場合ですら、やはりもともとの情報が「役に立った」と言えるのだ。
というわけで、今回のお題を掲げてみた次第だ。